住宅性能表示制度について
住宅の品質を客観的に評価する「住宅性能表示制度」について解説します。 性能表示を活用して、安心・満足できる家づくりを進めましょう。

住宅性能表示制度とは
住宅性能表示制度は、住宅の性能を客観的に評価し、表示するための国の制度です。 2000年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって創設されました。 この制度を利用することで、住宅の基本的な性能を共通の物差しで評価できます。
住宅性能表示制度のメリット
- 客観的な評価:第三者機関による公正な評価で住宅の性能が明確になる
- 比較検討が容易:異なるハウスメーカーの住宅性能を同じ基準で比較できる
- トラブル防止:契約時の性能が確保されていない場合の紛争処理の基準になる
- 住宅ローン優遇:性能表示を取得した住宅は、住宅ローンの金利優遇が受けられる場合がある
評価される性能項目
住宅性能表示制度では、以下の10分野にわたる性能が評価されます。 それぞれの項目は等級や数値で評価され、評価書に記載されます。
注意点
住宅性能表示制度は任意の制度です。すべての住宅で取得されているわけではありません。 また、全ての項目を評価する必要はなく、一部の項目のみの評価も可能です。 評価を受けていない項目については「-」と表示されます。
特に重視したい性能項目
すべての項目が重要ですが、特に以下の項目は長期的な安全性や快適性、 資産価値に大きく影響するため、重点的にチェックすることをおすすめします。
構造の安定(耐震性)
日本は地震大国であり、耐震性能は最も重要な性能の一つです。 耐震等級2以上を目安に検討すると良いでしょう。
耐震等級3の住宅は、地震保険料の割引(耐震等級割引)が適用される場合があります。
温熱環境・省エネルギー性能
断熱性能は快適性だけでなく、健康面や光熱費にも影響します。 断熱等性能等級4以上、一次エネルギー消費量等級5以上を目安にしましょう。
2025年から新築住宅の省エネ基準への適合が義務化されます。
劣化の軽減
住宅の寿命に関わる重要な性能です。 劣化対策等級3を目安に検討すると良いでしょう。
長期優良住宅の認定を受けるには、劣化対策等級3以上が必要です。
維持管理・更新への配慮
将来のメンテナンス性に関わる項目です。 維持管理対策等級3を目安に検討すると良いでしょう。
配管の点検や交換のしやすさは、将来の大規模修繕の費用に大きく影響します。
プロからのアドバイス
住宅性能表示制度の等級だけでなく、実際の仕様や工法も確認することが重要です。 たとえば、同じ耐震等級3でも、どのような構造や工法で実現しているかによって、 コストや住み心地が異なる場合があります。等級とともに、具体的な仕様や メリット・デメリットを住宅会社に確認しましょう。
住宅性能表示制度の利用の流れ
- 1
設計住宅性能評価の申請
設計段階で登録住宅性能評価機関に申請します。住宅会社が代行することが多いです。
- 2
設計住宅性能評価書の取得
審査に合格すると「設計住宅性能評価書」が交付されます。
- 3
建設工事
評価書に基づいて工事が行われます。
- 4
建設住宅性能評価の申請
工事中に数回の現場検査が行われます。
- 5
建設住宅性能評価書の取得
工事完了後、最終検査に合格すると「建設住宅性能評価書」が交付されます。